パニックスリラーWOWOW『鵜頭川村事件』はどんなドラマか?

『鵜頭川村事件』と聞いて、「八つ墓村」を思い浮かべるのは自分だけだろうか?
田舎の村の中での殺人事件もの、もしくは番宣での「エイキチさまのたたりだっ!」などの台詞を聞くと、ホラーもののようにも思える。
本来自分はホラーが苦手なのだが、どんなドラマなのか興味本位で見てみると、大雨により孤立化した村の中で起きてくる様々な事件の展開にくぎ付けとなった。オカルトやホラーとも違う、パニックスリラーWOWOW『鵜頭川村事件』の怖さと魅力について考えてみたい。

『鵜頭川村事件』はどんなドラマか?

原作は、櫛木理宇氏の同名小説。ただし内容はドラマ用に大幅に改変されている。
登場人物はほとんど原作に基づいているが、微妙に設定が異なっている。ただ、スリリングな物語展開や人間の本性を描く様はそのままで、「連続ドラマW 鵜頭川村事件」が映像化されている。

松田が扮する岩森明は、集中豪雨で孤立してパニック状態に陥った村で、失踪した妻を捜す中、自らも争いの渦に巻き込まれていく医師。また、失踪した岩森の妻・仁美と、その双子の妹・矢萩有美という2役を演じる蓮佛美沙子をはじめ、伊武雅刀、工藤阿須加、山田杏奈、眞島秀和、綾田俊樹、荒川良々ほか、そうそうたる役者が出演している。

少子高齢化による地方の孤立や、新型コロナ感染症による社会問題など、日本のどこかで起こり得るかもしれない極限のパニック群像劇を、オール長野ロケでの映像が見どころとなっている。

公式ホームページ https://www.wowow.co.jp/drama/original/uzukawamura/

原作について

『鵜頭川村事件』は、櫛木理宇が書いたミステリ、ホラー小説です。2018年6月に文芸春秋から単行本が刊行され、2020年11月に文庫化されました。また、2022年4月に文春オンラインでコミカライズされています。
孤立した村の中での、もともと抱えていた住民同士の憎しみ、諍い、そして大雨による孤立化した部落の中で現れる人間の生々しい本性が描かれていて、とても人間の怖い面を感じさせてくれる小説です。

【小説とドラマの設定で異なる点】
小説の主人公・岩森は亡くなった妻の墓参りに鵜頭川村を訪れるが、ドラマでは失踪した妻を探しに村を訪れている。
小説では電子機器製造会社に勤めている岩森だが、ドラマでは医者となっている。
ドラマでは、小説にはいない妻の双子の妹・有美が登場し、岩森と共に失踪した妻・仁美を探す設定になっている。

ストーリー

医師の岩森明(松田龍平)は娘を連れ、行方不明となった妻の仁美(蓮佛美沙子)を捜しに、妻の故郷である鵜頭川村(うずかわむら)を訪れる。12年ぶりに開催される、エイキチという名の神の祭りの準備のただ中で村は活気づいていた。しかし、そこは血縁に基づく不毛な一族同士の権力闘争が続けられる一方で、都市部から取り残された若者たちが鬱憤(うっぷん)をためる、絶望に支配された空間だった。
そんな中、突如大雨が襲い村は孤絶状態に陥り、ひとりの若者が何者かに殺害される。村中を不信と不安が覆い始める中、さらなる殺人事件が発生。血縁同士の争いに加え、不満をためていた青年団の若者と中年・老人の世代間対立も先鋭化し、岩森もその争いに巻き込まれていく。極限状態の中で見えてくる人間の本性。岩森も妻の行方を捜しながら村の騒動に関わる中で、自分とその過去に向き合うことになる。
(WOWOW公式ホームページより)

キャスト

松田龍平・・岩森昭(鵜頭川村出身の矢作仁美の夫で医師。行方不明の仁美を探しに村に来る)
蓮佛美沙子・岩森の妻・仁美と、その双子の妹・矢萩有美という2役を演じる
伊武雅刀・・鵜頭川村で産廃業を営む「矢萩総業」のトップ・矢萩吉朗
工藤阿須加・鵜頭川村青年団の団長・降谷辰樹
山田杏奈・・村の高校生で、吉朗の孫と付き合っている降谷美咲
眞島秀和・・東京から来た経営コンサルタント、金井誠
綾田俊樹・・鵜頭川村・村長、降谷正宗
荒川良々・・村で唯一の駐在所の警察官。吉見忠彦

パニックスリラーの魅力

WOWOWでは本ドラマをパニックスリラーと呼んでいる。
パニック映画やスリラー映画というのはあるけれど、パニックスリラーというのは聞いたことがない。いろいろと調べてみたが、そうしたジャンルが正式にあるわけではなく、同局の宣伝用のフレーズのようです。なんとなく意味は通じますが、ウイキペディアでパニック映画とスリラー映画で調べてみました。
パニック映画は、災害や大惨事など突然の異常事態に立ち向かう人々を描く映画のジャンル。様々な人間の行動を描くためにグランドホテル形式が用いられることが多い。異常事態を描くために大掛かりな特撮が使われることもある。アメリカ東海岸やヨーロッパの作品では大事故や洪水、伝染病の蔓延などが描かれることが多い。
パニック映画で有名なものは、「タイタニック」や「ジョーズ」、「タワーリングインフェルノ」など。特殊な設定の中で突然の大被害にあい、人々がその異常事態に立ち向かう姿を描く。

スリラー映画は、観客の緊張感や不安感を煽ることを狙いの一つにしているような映画。時として恐怖感の増幅にもつながるので、ホラー映画やサスペンス映画(ミステリ映画)、サイコスリラー映画と隣接しているようなこともある。
スリラー映画で有名なものは、ヒッチコックの「サイコ」や「レベッカ」。最近では「パラサイト半地下の家族」など。

今回の『鵜頭川村事件』は、上記のカテゴリーをあてはめると、まさにパニックスリラーと言える。突然の大雨による大災害で孤立無援状態になった村落の中で、村民同士の本性丸出しの戦いが始まる。そのうえで、よそ者の主人公が行方不明の妻をどう救えるのか、スリラーでありサスペンス要素まで加わっているようにも思え、画面から目が離せない。

いずれにしても、極限のパニック状態の中で起こってくる事件は、長野県の山奥でのオールロケでの壮大な映像、大雨が降り続くシーンのすさまじさ、きめ細かい美術処理、役者たちの熱演の中で、人間の本性をえぐってきていて、とても怖くなる。

まとめ

現在、このブログを書いているのは第4話放送後。今後、第5話、最終話で、劇的な展開が続いていくに違いない。原作小説を読んだが、最終での村人同士の戦い、主人公の闘いぶりは驚愕の展開であった。ドラマ版では設定が変わっており、主人公の妻の救出も大きなテーマとなってくる。どのように最後の2話が進んでいくのか、テレビから目が離せない。

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