米倉涼子さん主演『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』。思わず涙があふれる感動のドラマです!

国際霊柩送還士という仕事があることをドラマで初めて知りました。
考えてみれば、海外で亡くなった日本人や、日本で亡くなった海外の人を居住地にお送りすることは必要ですね。そうしたプロフェッショナルの仕事ぶりを描いたのが、このドラマです。とても辛い話を想像してしまいますが、日本人が隠してしまいがちな死との向き合いをきちんと描きながら、涙と笑いで感動させるヒューマン・エンタテイメントになっています。
アマゾンプライムビデオで配信されています。

原作は佐々涼子氏

原作者は佐々涼子氏。
2020年『エンド・オブ・ライフ』(集英社インターナショナル)で、第3回Yahoo!ニュース本屋大賞 ノンフィクション本大賞を受賞するなど、ドキュメンタリー作家として活躍されています。
2012年『エンジェルフライト国際霊柩送還士』(集英社)で、第10回開高健ノンフィクション賞を受賞。ドラマも感動しますが、原作を読むとより国際霊柩送還士の実態が分かり、ドラマと合わせて読むことをお勧めします。

モデルとなった人物は

エンジェルフライトの舞台となった会社は、羽田空港にある国際霊柩搬送業者のエアハース・インターナショナル(ドラマではエンジェルハースという会社名)。国際霊柩送還という言葉はエアハースの登録商標。こうした仕事をしている業者が少ないため、これに代わる言葉が存在しないらしい。
この会社で社長を務めるのが木村利惠(きむらりえ)さんで、ドラマの主役・伊沢那美(米倉涼子)のモデルです。

髪を赤く染め派手な服を着て、ヘビースモーカーで酒焼けのハスキーボイス、彼女のことを姉御と呼ぶ人もいる。男まさりな喋り方をして元レディースのリーダーじゃないかと揶揄されるそうだが、実際には昭和生まれの江戸っ子で、昔気質の礼儀正しい人物らしいです。

会長の山根氏と社長の木村さんの二人で会社を経営しており、木村社長の普通の人にはとてもできないタフな仕事ぶりが会社を支えているようです。ドラマではこの木村社長の常識を超えた仕事ぶりや、ご遺体との向き合い方など、米倉涼子さんの演技がとても熱く泣かせます。

ドラマの魅力

このドラマの一番の魅力は、死と向き合った家族に対して、誠心誠意にご遺体を搬送しようとするエンジェルユライトの姿でしょう。ふだん全く知ることない国際霊柩送還士の熱心な仕事ぶり、亡くなった方への家族愛に応えようとする姿に、思わず心が打たれ涙します。
「おくりびと」という映画では、本木雅弘さんが納棺師を好演し日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞しましたが、この「エンジェルフライト」も「おくりびと」に負けないくらいの愛と感動を与えてくれるドラマではないかと思います。

キャストがとてもいい

出演しているキャストが皆はまり役でいきいきとした演技をしています。
主役の米倉涼子さんはドクターXの大門未知子を上回る迫力ある人物。怒って、笑って、泣いて・・。ご遺体の処置に真剣に取り組む様に感情が引き込まれていく。大門未知子以上のはまり役ではないでしょうか?

そして、フライトエンジェル社で新入社員の凛子を演じる松本穂香さんが、とてもいい味を出した演技をしています。頼りない新入社員を演じさせたら、今一番ぴったりな役者ではないでしょうか。那美(米倉涼子)に怒鳴られながら、ドラマ全体のナレーションでその状況の面白さを伝えるさまがとても笑わせて、切ないテーマのドラマを明るくさせてくれます。

その他にも強面の会長を演じる遠藤憲一さん、マニアックな柊を演じる城田優さん、チャラい元ヤンの矢野役の矢本悠馬さん、噂好きなみのり役の野呂佳代さん、温厚だが得体の知れない田ノ下役の徳井優さんなどクセのある社員たちのキャラクターが、皆とてもうまく演じられており、ドラマ全体を楽しませてくれます。この配役はないなと思わせることがない、全員適役と思います。

映画みたいな映像の迫力

第一話では、フィリピンのスラム街のアクションシーンを空撮や移動撮影など迫力ある映像で見せてくれます。まるで映画や大河ドラマのオープニングシーンのようです。これがテレビドラマなのかと驚かされる導入から始まり、フィリピンの街並みでのロケ撮影やご遺体をきれいに化粧していくシーンなど、映像の持つ力にも感動させられる、そんなドラマになっています

全話続けて観たくなります

国際霊柩送還士という重々しいタイトルがついたこのドラマ。見る前は少し怖い感じがしていたのですが、映画のような迫力ある映像と、キャストのいきいきとした演技、ドラマの合間で笑わせてくれるウィットにとんだ脚本、演出。そして家族の愛に応えるために熱く行動するエンジェルフライトの姿に、思わず涙が流れて止まりません。全話、集中して観たくなるドラマでした。

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