実話をもとにしたドラマ「ファーストペンギン！」第1話、とても面白かったです。
縁もゆかりもない漁業の世界に飛び込んだシングルマザーの物語。冷え込む漁業の世界、社会問題化するシングルマザー。いろいろな現代的な要素を盛り込みながら、一人の女性がたくましく生き、古い考えを押し付けてくる男たちに熱い啖呵を切る、エンタテイメント感一杯なドラマでした。
「ファーストペンギン！」どんな物語か？
多くの敵が潜む海の中に、獲物を求めて陸地から最初に飛び込むファーストペンギン。勇気のいる行為だと思います。なかなか出来ることではないですよね。
そんな話が山口県萩市の男社会の漁業の世界であったわけです。60人の漁師を束ねる萩大島船団丸の社長になったシングルマザーの実話をもとにしたドラマですが、その実在の話も面白いし、その女性の生き方やその役を演じる奈緒さんがとても魅力的なドラマです。
■公式ホームページ https://www.ntv.co.jp/first-penguin/
浜を立て直した実在の人物とは？
ドラマのヒロインのモデルは坪内知佳さん。23歳の時に2歳の息子を連れて萩市に移り住み、翻訳の仕事や旅館の仲居業を務めていたところ、一人の漁師との出会をきっかけに、全く何も知らなかった漁業の世界に飛び込んだファーストペンギンでした。
アジとサバの違いも分からない素人ゆえに大胆な発想で既成概念を打ち砕き、漁師たちが獲った魚を漁協や市場を通さずに直接料理店に販売するシステム「生産・加工・販売」を一貫して行う「漁業６次産業化」として国に認定されました。
朝獲れた水産物を箱詰めにして都会の料理店に直送する鮮魚ボックス事業をスタート。しかし簡単にはうまくいかず、販路拡大のために全国各地の飲食店を渡り歩き、飛び込み営業に奔走。
また、魚を獲ることしかしていなかった漁師たちは、慣れない出荷作業や事務作業に悪戦苦闘し、坪内さんと喧嘩になることも。こうしたトラブルをかかえながら事業は進められ、株式会社として法人化されるまでに至っています。
やさしい奈緒さんの演技に凄味が・・
この実在の人物、坪内さんをモデルとした主人公の岩崎和佳を演じるのが奈緒さんです。
奈緒さんは現在27歳。高校1年の時に福岡でスカウトされ、2013年の西日本のドラマ「めんたいぴりこ」で女優デビュー。20歳で上京後、NHK朝ドラ「半分、青い。」のヒロインの親友役に抜擢される。最近では「あなたの番です」のストーカー役でブレイクし、日本テレビドラマ「恋です～ヤンキー君と白状ガール」、映画「余命、10年」「TANG タング」「マイブロークン・マリコ」などに続々と出演。「ファーストペンギン！」で地上波GP帯ドラマの主演を初めて務めました。また、この和佳役のような強い女性を演じるのも新しい試みです。
奈緒さんは今回の主役を演じるにあたって日本テレビのHPで以下のように語っています。
「和佳（のどか）という名前の主人公役ですが、のどかな町に現れた人だなと思いました。猪突猛進で周りを巻き込んでいくガッツのあるカッコいい女性だと思います。そんな和佳の過去にはすごく傷ついた出来事もあり、人の弱さを知っているからこそ、優しく強くなれる、そういった点が魅力的です。」
「これまではどちらかというと波に流されてゆったりと生きていくタイプの役が多かったですが、今回の和佳は大きな波を起こす人なので、自分の中で新しいギアを入れて演じなければならないと感じています。」
奈緒さんにはGP帯での初主役を演じる不安もあったと思うのですが、まったくの新境地で、芯の強い役柄を見事に演じています。「マイブロークン・マリコ」のマリコ役のような優しく弱い女性を演じさせれば天下一品で、「あなたの番です」での切れ役も見事だったのですが、今回の和佳はシングルマザーのつらさを感じさせないような明るく強い役柄。しかも男だらけの漁師の世界で、巻き込まれ的ではありましたが、その旧態的な社会をぐいぐいと引っ張っていく。そして堤真一さんや梅沢富美男さんを相手にけれんみのない啖呵を切る演技。すさまじい迫力で思わずスッキリ。明るさ、優しさと古いしきたりに負けない強い心を持つ和佳を見事に演じていました。
歴代女優の啖呵
とても迫力のあった奈緒さんの啖呵ですが、これまで女優の啖呵はどんな人がやっていたのか気になりました。
まず有名なのは「極道の妻たち」での岩下志麻さんの啖呵。そして「舐めたらあかんぜよ！」美人女優が迫力たっぷりに啖呵を切る「鬼龍院花子の生涯」での夏目雅子さん。
ドラマでは「ごくせん」でヤンクミを演じた仲間由紀恵さん。生徒たちに対して熱く説教する姿勢が、高い人気を集めました。菜々緒さんや天海祐希さんのような男前のする背の高い女優の啖呵は迫力があります。
最近では「極主夫道」での女優陣の啖呵合戦が面白かったですね。和服姿の稲森いずみさんの啖呵はぞくぞくとする怖さとカッコ良さがあります。松本まりかさんの啖呵は細い体から出てくる切れた演技が見もの。MEGUMIさんは本当にヤンキーにいそうな安定感のある啖呵でした。川口春奈さんは可愛らしい方ですが、怒らせると見事に怖い女に変身していました。
こうしてみると、いかにもという迫力のある女優さんの啖呵もいいですが、わりと華奢で可愛らしいタイプの人が切れると変身するという意外性がいいのかも知れません。
まとめ
「ファーストペンギン！」の初回は、奈緒さんの迫力ある啖呵で締められました。しかし、古い男社会の漁業を取り囲む問題解決はこれからです。やさしく子供を育てながら、漁師や漁業関係者と正面からぶつかって啖呵を切る奈緒さんがどれだけ見られるのか、とても楽しみです。
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